「鉄拳3」は1997年3月にナムコの格闘ゲーム「鉄拳2」の続編としてリリースされた3D格闘ゲームです。
バックストーリーは突然19年後の設定となり、面食らった人も多かった三島一八と風間準の子供「風間仁」、モーションキャプチャーを駆使して作られた「ファラン」「シャオユウ」「エディ」等が新キャラクターとして登場しました。このファランやエディの動きは本物の人間のモーションキャプチャーを元に作られたこともあり、とてもリアルでなめらかなモーションでした。
旧シリーズからの既存キャラクターも年をとり、いわゆる二代目キャラクター(フォレスト・ロウやキング、ジュリア・チャン等)も登場します。二代目キングの技の一部はパンクラスの鈴木みのる氏がモーションキャプチャーを担当しており、投げコンボ名の「ベルウッドスペシャルコンボ」は鈴木みのる氏の「鈴木」から名付けられています。ちなみにファランのモーションキャプチャーは黄 秀一氏が担当しています。
アーケード用筐体はナムコオリジナルのサイバーリードが採用され、キャラクターのプロフィールや一部の技名が画面上の電光掲示板に表示され、稼働当初はそれを見て初めて技名を知ることもありました。しかし、レバーの評判は賛否ありました。音楽はデジロック風の曲調で、ラウンドを重ねていくとだんだん音楽が盛り上がっていく演出は画期的でした。
「鉄拳2」からのシステム的な一番の変更点は横移動です。これまで一八の霧足やペクのフラミンゴ等、キャラクター固有だった横移動がシステムに組み込まれたことで、より3Dらしい動きが可能となり、対戦の戦略や読み合いに深みが増しました。
他にもダウン受け身の導入によりスピーディーな試合展開が可能となり、細かい部分では投げ抜けの簡略化、当て身返し、大ジャンプ、気合溜め等々の新要素や変更点が組み込まれました。ファランのフラミンゴ、レイの五形拳等のいわゆる"構え"もスピーディーな試合の中でしっかりと戦略に組み込めるシステムは流石と言うべきでしょう。
タイムリリースシステムもこの頃確立し、新キャラクターを登場させるだけではなく時限式に既存キャラクターの3Pカラーを選択できるようにもなりました。
次のタイムリリースキャラクターの登場一週間前になるとCPU戦の合間に「Who is it?」の文字と共に新キャラクターのシルエットがパッと現れる演出が用意されていました。技をヒットさせたときの爽快感、絶妙なバランス、魅力的なキャラクターの数々等の相乗効果でこれまで他の格闘ゲームをプレイしていたプレーヤーも取り込みながら「鉄拳3」はアーケードで大ヒットします。
そしてアーケード稼働から一年後の1998年3月にプレイステーション用ソフト「鉄拳3」が発売されます。
発売と共に爆発的に売り上げを伸ばし、最終的に全世界で400万本を突破する大ヒットとなりました。毎回驚かされるプレイステーションオリジナルオープニングと各キャラクターのエンディングムービーは今回も見応え十分でした。
新モードとして鉄拳フォースモード、鉄拳ボールモードがあります。鉄拳フォースモードとは横スクロールのアクションゲームで、キャラクターを操作して次々に出てくる鉄拳衆を倒して行き各ステージの最後に出てくるボスを倒すというものです。鉄拳ボールモードはビーチバレーを鉄拳のキャラクターを使用してプレイするというもので、やってみると案外奥が深く、はまった人も多いのでは無いでしょうか?
プレイステーション版専用のキャラクターとして、アーケード版ではニーナの3Pカラーだった「アンナ・ウィリアムズ」、マンガのキャラクターで恐竜の「ゴン」、そしてこれまでの常識をうち破るような技ばかりの「Drボスコノビッチ」が登場しました。下位移植ということでフレーム数が僅かに抜けている、モーションの多少の変更等、アーケードと比べると若干劣りますが、プレイステーションの性能を考えると驚くほどの移植度でした。ちなみにアーケードで可能だった仁の鬼八門キャンセルはできなくなっています。
2005年に発売されたプレイステーション用ソフト「鉄拳5」ではモードの一つとしてアーケード版の鉄拳3が移植され、プレイステーション版鉄拳3発売から7年の時を経てアーケード版(ラウンド変化するBGM演出以外は完全移植)を家庭用にてプレイできるようになりました。
そして二年後の1999年7月、鉄拳タッグトーナメントがアーケードで稼働し始めます。